証明の程度

1 例えば「殺意」

たとえば、法律上のある事実を証明するとします。

勝手にわかりやすい例えだと思うのはは

殺人罪(刑法177条)における『殺意』です。

ですから、ここでは証明の程度を説明する方便として

『殺意』を題材にします。

 

 

2 計画的な大量殺戮

『殺意』とは他人を殺す故意です。

極端の例を出したほうが、理解が早いと思うので

極端の例を出します。

例えばある人が500人を殺す目的で

ライフル銃にあまり余る銃弾を用意し

さらに、犯行前には

射撃の精度を上げるために射撃場に足しげく通っていました。

そのうえ、対象者の500人を迅速かつ効率的に射撃するために

射撃に適した射撃場所の探索を1年にわたり行っていました。

そして、当日、事前準備に従い目的を達しました。

 

たとえが長くなりましたが、

 

このような犯人に対しては

一般的な人間の思考力からすると

当然、犯人の殺意が認定しえます。

 

 

 

 

3 偶発的な死亡

 

一方で

結果的に人間を死亡させた犯人がいたとします。

この犯人と被害者との関係において、

事件以外の接点はなく

この犯人の所持品は、通常業務を行うノートパソコン以外なく

その上で、

「死亡した被害者はこの犯人に対して

大声を出して一方的に恫喝をしていた」

との目撃証言が会社帰りの多数の会社員から得られました。

この犯人と被害者との関係を踏まえ、

犯人の被害者に対する死亡させた行為に関する

故意を認定しようとしても、

一般的な人間の思考力からすると

この犯人の被害者に対する殺意は

認定できません。

 

つまり、

ある事実から推測され事実を

ほぼ間違いなく認定できる

といえる時に

証明があったものとなります。