たとえば、法律上のある事実を証明するとします。
勝手にわかりやすい例えだと思うのはは
殺人罪(刑法177条)における『殺意』です。
ですから、ここでは証明の程度を説明する方便として
『殺意』を題材にします。
『殺意』とは他人を殺す故意です。
極端の例を出したほうが、理解が早いと思うので
極端の例を出します。
例えばある人が500人を殺す目的で
ライフル銃にあまり余る銃弾を用意し
さらに、犯行前には
射撃の精度を上げるために射撃場に足しげく通っていました。
そのうえ、対象者の500人を迅速かつ効率的に射撃するために
射撃に適した射撃場所の探索を1年にわたり行っていました。
そして、当日、事前準備に従い目的を達しました。
たとえが長くなりましたが、
このような犯人に対しては
一般的な人間の思考力からすると
当然、犯人の殺意が認定しえます。
一方で
結果的に人間を死亡させた犯人がいたとします。
この犯人と被害者との関係において、
事件以外の接点はなく
この犯人の所持品は、通常業務を行うノートパソコン以外なく
その上で、
「死亡した被害者はこの犯人に対して
大声を出して一方的に恫喝をしていた」
との目撃証言が会社帰りの多数の会社員から得られました。
この犯人と被害者との関係を踏まえ、
犯人の被害者に対する死亡させた行為に関する
故意を認定しようとしても、
一般的な人間の思考力からすると
この犯人の被害者に対する殺意は
認定できません。
つまり、
ある事実から推測され事実を
ほぼ間違いなく認定できる
といえる時に
証明があったものとなります。